ユーロ/円相場は、130円台まで上伸する展開になっている。ユーロ圏の債務不安が後退する一方、世界的な株高を背景に円売り再開の動きも強く、ユーロ/円相場は地合を引き締めている。6月11日以来の130円台回復となっており、直近安値124.97円からの上昇幅は5円を超えている。
欧州連合(EU)経済・財務相理事会は6月26日、域内金融機関の破綻処理についてバッドバンク設立、破綻処理基金の10年以内の設立などで基本合意した。欧州議会での承認が得られるのかなど不透明感も残るが、少なくとも危機対応の動きが進んでいることは間違いなく、ユーロの下値不安が後退している。7月4日の欧州中央銀行(ECB)理事会で政策変更が行われる可能性も低く、早期追加利下げ観測を後退させることができれば、ユーロ/円の地合も引き締まり易い。もっとも、5月のユーロ圏失業率が前月の12.0%から12.1%まで上昇する中、厳しい雇用環境がユーロの上値を圧迫する展開も続くため、ユーロサイドからの大きな値動きは想定しづらい。今後も緩和的な政策スタンスそのものが修正を迫られるような環境にはない。
一方、株式市場の地合が安定化していることが、改めて円売り圧力に直結している。リスク投資の地合が安定化する中、再び金融政策環境がクローズアップされ易い地合になっている。前日の日銀短観で2期連続の景気改善が確認されていることもあり、株高局面では円売り圧力が強まり易い状態が続く見通し。5日に米6月雇用統計を控えて動きづらい地合になるが、中国の流動性ショックが再発するような事態が回避できれば、円売り再開の動きが強まろう。ドル/円相場の100円台回復を試す動きと連動して、ユーロ/円も強含みの展開を想定したい。
今後1週間の予想レンジは、128.25~132.50円。